お盆の最終日が近づくと、毎年この問題にぶつかる方がいます。

ベランダで火を使ってはいけないと、管理規約に書いてある。

玄関先が共用廊下で、火を焚ける場所がない。

そもそも、去年もおととしも、気づいたら16日が終わっていた。

結論から書きます。どれも問題ありません。そして、それは「仕方ないから諦めましょう」という意味ではありません。火を使わなくても、送り火はきちんと成立します。

まず結論から

送り火の本体は、火の大きさではありません。送り出す時間を持つことです。ろうそく一本でも、電池式の提灯でも、線香一本でも成立します。日を過ぎてから気づいた場合も、その時点で手を合わせれば済みます。焚かなかったことで不都合が起きるという伝承は、ありません。

2026年の送り火はいつか

日付内容
8月13日(木)迎え火。お盆の入り
8月14日(金)・15日(土)中日
8月16日(日)送り火。お盆の明け

時間帯は、夕方から夜にかけて、おおむね午後5時から8時ごろに行う家が多くなっています。

迎え火が日の暮れてから焚かれるのに対し、送り火はやや早めに始める地域もあります。実家や菩提寺に習わしがある場合は、そちらが優先です。7月盆の地域では7月16日にあたります。

なぜ焚けない家が多いのか

できない理由は、だいたい次の3つに分かれます。どれも本人の落ち度ではありません。

1. マンションの管理規約で禁止されている

多くの分譲・賃貸マンションでは、ベランダでの火気使用が規約で禁止されています。

これには理由があります。ベランダは災害時の避難経路にあたり、隔て板の向こうへ通り抜けられる構造になっています。加えて、上下階への延焼リスクがあります。規約に従うのが、正しい判断です。

2. 火を焚く場所そのものがない

玄関が共用廊下に面している。門扉の外がすぐ道路になっている。庭がない。都市部の住宅では、これがむしろ標準です。

3. 気づいたら日が過ぎていた

和室の仏壇の前で灯る白木の電池式盆提灯。かたわらに季節の花と家族写真の額
電池式の盆提灯は、火を使えない住環境のために作られたもの

連休の予定が立て込んでいた。帰省の移動でそれどころではなかった。これも珍しいことではありません。

そして、この3つ目がいちばん人を悩ませます。できなかったのではなく、忘れたという形だからです。この点については、後半でもう一度書きます。

火を使わない、5つの代わり

効果に上下はありません。住環境に合うものを選んでください。

  1. 仏壇や写真の前で、ろうそくを一本灯す。最も一般的な代わりです。灯している数分のあいだ、見送りの言葉をかけます
  2. 電池式の盆提灯を点ける。そもそも火を使えない住環境のために作られた道具です。使うことに引け目を感じる必要はありません
  3. 線香を一本立てる。火を使いますが、ろうそくよりさらに小さく、室内で完結します
  4. LEDキャンドルを玄関に置く。小さな子どもやペットがいる家では、これがいちばん安全です
  5. 玄関の灯りを点けて、少し立つ。道具が何もなくても、送り出す時間は持てます

5番目を冗談だと思わないでください。これが送り火の芯にあたる部分です。おがらも、ほうろくも、提灯も、全部この時間を作るための道具です。

屋外で少しだけ火を使える場合

戸建てで、門前や庭に火を置けるなら、本来の形で焚けます。ただし条件があります。

自治体によっては、屋外での焼却を条例で制限している地域があります。迷ったら自治体の案内を確認してください。

日を過ぎてしまった場合

ここが、いちばん多い相談です。

気づいた時点で手を合わせれば、それで済みます。送り火は法律でも戒律でもありません。時刻を過ぎた、日をまたいだという理由で無効になる決まりは、どこにもありません。

17日の朝に思い出したなら、その朝に灯りをひとつ点けて、一言かけてください。それで送り出しは成立します。

むしろ避けたいのは、忘れたことを悔やんで、供養そのものから足が遠のくことです。来年こそはと思ったまま、翌年も同じことを繰り返す。これがいちばんもったいない形です。

ひとつ提案があります。今年の分を今日済ませたうえで、来年8月16日の夕方にスマートフォンの通知を設定してください。忘れる原因は、気持ちの薄さではなく、単に予定に入っていないことのほうです。

「焚かないと帰れない」は本当か

送り火は、帰り道の目印として灯すものだと説明されます。この説明自体は、行事の意味づけとして古くからあるものです。

ただし、焚かなかった家に何かが起きるという伝承は、見当たりません。

実際のところ、都市部では火を焚かない家のほうが多数派です。それで困った話が積み上がっているわけではありません。

不安として扱うのをやめてください。送り火をしなかったことを心配する時間があるなら、その時間で手を合わせるほうが、行事の趣旨にかないます。

迎え火だけした、送り火だけした

片方しかできなかった、という相談もよくあります。

問題ありません。迎え火と送り火は対になっていますが、片方だけになったからといって打ち消し合うものではありません。

事情が変われば形も変わります。今年は今年の形で済ませて、翌年に戻せる状況になったら戻せば十分です。

送り火のあとの片づけ

もの扱い方
盆提灯翌日以降に片づけ、乾いた場所で保管して翌年も使う
精霊馬塩を振り、白い紙に包んで家庭ごみへ。川や海に流すのは現在ほぼ行われていない
お供えの食べ物傷む前に下げて、家族でいただいて構わない
枯れる前に下げる。枯らしたまま置くほうが避けたい

処分の仕方に迷ったときは、菩提寺か、地域の年長者に確認するのが確実です。地域差が大きい部分だからです。

まとめ

火が大きいほど届く、というものではありません。ろうそく一本の前で数分立つことと、庭で焚くことは、同じ働きをします。

よくある質問(FAQ)

Q. マンションで送り火を焚けない場合はどうすればいいですか?

火を使わない形に置き換えて構いません。多くのマンションでは、ベランダでの火気使用が管理規約で禁止されています。これは避難経路と延焼の問題なので、規約に従うのが正しい判断です。代わりになるのは、玄関先や仏壇の前でろうそくを一本灯す、電池式の盆提灯を点ける、線香を一本立てるといった方法です。送り火の本体は火の大きさではなく、送り出す気持ちと、その時間を持つことにあります。ベランダでできないからといって、供養が欠けることにはなりません。

Q. 送り火を焚くのを忘れました。今からでもできますか?

できます。気づいた時点で手を合わせてください。送り火は法律でも戒律でもなく、地域と家で受け継がれてきた習わしです。時刻を過ぎた、日をまたいだという理由で無効になる決まりはありません。翌日に気づいたなら、仏壇や写真の前でろうそくを灯し、見送りの言葉を一言かければ、それで送り出しは成立します。忘れたこと自体を悔やんで供養から遠ざかるほうが、本来の趣旨から外れます。

Q. 2026年の送り火はいつ焚きますか?

2026年の月遅れのお盆は8月13日から16日で、送り火は最終日の8月16日(日)に焚くのが一般的です。時間帯は夕方から夜にかけて、おおむね午後5時から8時ごろに行う家が多くなっています。迎え火が日が暮れてから焚かれるのに対し、送り火はやや早めの時間に始める地域もあります。地域や宗派で細部は異なるため、実家や菩提寺の習わしがある場合はそちらが優先です。7月盆の地域では7月16日にあたります。

Q. 送り火の代わりに何を使えますか?

ろうそく、電池式の盆提灯、線香、LEDキャンドルのいずれでも構いません。実際に販売されている電池式の盆提灯は、まさにこうした住環境のために作られたものです。屋外で少しだけ火を使える場合は、耐熱の皿におがらを数本置いて短時間で燃やす方法もありますが、風の強い日や乾燥した日は避けてください。どの方法をとる場合も、火を使うなら最後まで人が離れないことが唯一の条件です。

Q. 送り火をしないと、ご先祖様が帰れないのでしょうか。

そうした考え方をする必要はありません。送り火は道しるべとして灯すものだと説明されますが、それは行事の意味づけであって、焚かなかった家に不幸が起きるという伝承ではありません。実際、都市部では火を焚かない家のほうが多数です。送り火をしなかったことを不安の種にするより、その日に少し手を合わせる時間をとるほうが、行事の趣旨にかないます。

Q. 迎え火は焚いたのに送り火だけできません。片方だけでも大丈夫ですか?

問題ありません。迎え火と送り火は対になっていますが、片方だけになったからといって打ち消し合うものではありません。事情が変われば形も変わります。送り火ができない日は、仏壇の前で「またおいでください」と一言かけて、灯りをひとつ点けてください。それが送り火の役割を果たします。翌年に両方できるようになったら、そのときに戻せば十分です。

Q. 送り火のあと、盆提灯や精霊馬はどう片づけますか?

盆提灯は送り火の翌日以降に片づけ、乾いた場所で保管して翌年も使います。精霊馬は、以前は川や海に流す地域もありましたが、現在は環境の問題からほとんど行われていません。塩を少し振り、白い紙に包んで家庭ごみとして出すのが現実的で、失礼にもあたりません。菩提寺でお焚き上げを受け付けている場合は、そちらへ持参する方法もあります。処分の仕方を迷ったときは、菩提寺か地域の年長者に確認するのが確実です。

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