「神社に行ってはいけない人」で検索すると、驚くほどたくさんの条件が出てきます。

忌中の人。体調の悪い人。生理中の人。呼ばれていない人。二礼二拍手一礼を知らない人。何社もはしごする人。

読んでいるうちに、行ってはいけない気がしてきます。そして本当に足が止まります。

この記事では、そうして挙げられている条件を12にまとめ、3つの層に分けて整理します。

この記事で分かること

1. 先に結論|12のうち、根拠があるのは3つだけ

結論から書きます。よく挙げられる12の条件のうち、神社の側の考え方として実際に説明されているのは3つです。

残りの9つは、現実的な事情から言われているもの(3つ)と、出どころが確認できないまま広まったもの(6つ)に分かれます。

条件性質
A忌中である/神事の直前に穢れに触れた/その神社が明示的に制限している神社の側に考え方がある
B体調が悪い/酒に酔っている/時間に追われている現実的な理由
C生理中/雨の日/はしご参拝/呼ばれていない/作法を知らない/願い事をする人出どころが確認できない

この記事はCを否定するために書いたものではありません。どれがどの層にあるのかを知っておくと、必要のない不安を持たずに済むというだけの話です。

2. A層|神社の側に考え方があるもの(3つ)

A-1. 忌中である

これが12のなかで最もはっきりした根拠を持つ条件です。

神道では死を穢れとして扱う考え方があり、近親者が亡くなった直後の一定期間は、鳥居をくぐらず参拝を控えるという習わしが広く行われています。この期間を忌中と呼びます。

ここで大事なのは、これは「あなたが悪い」という話ではないということです。穢れという言葉は汚れとは違い、気が枯れる、つまり生命力が落ちている状態を指すという説明が広く行われています。悲しみのただ中にいる人を、しばらく静かにさせておくための区切りだと考えると分かりやすくなります。

A-2. 忌中の期間は一律ではない

忌中の日数について、五十日祭までの五十日とする説明がよく見られます。ただしこれは全国共通の決まりではありません。

三十日を目安とする地域もありますし、亡くなった方との続柄によって日数を変える考え方もあります。数字を先に決めるより、忌明けをいつと考えるかを家族や神社に確認するほうが確実です。

また、期間中にどうしても参拝が必要になった場合(受験や仕事の節目など)、鳥居の外から拝礼する、先にお祓いを受けてから参拝するといった対応を案内している神社もあります。行けないと決めつける前に、社務所にたずねてみる価値はあります。

A-3. その神社が明示的に制限している場合

境内での撮影、ペットの同伴、特定の日の立ち入りなど、各社が独自に定めている制限があります。これは俗説ではなく、その神社のルールです。

掲示や公式サイトに書かれていることが多いので、遠方から行くなら事前に確認しておくと確実です。

忌中と喪中は別のものです。忌中は亡くなった直後の期間、喪中は故人を偲ぶ期間で一年程度をあてることが多い言い方です。忌が明けていれば喪中でも参拝して差し支えないとする神社が多く見られます。年賀状を控えるのは喪中の習わしで、神社参拝の可否とは別の話です。

木漏れ日が差し込む神社の手水舎。石の水盤に水が満ち、木の柄杓が並んでいる
作法を知らない人が来る前提で、手水舎は用意されている

3. B層|霊的な理由ではなく、現実的な理由(3つ)

B-1. 体調が悪いとき

これは神様に失礼だからではありません。境内は石段と砂利が多く、想像より歩くからです。

大きな神社ほど参道が長く、夏場は日陰の少ない区間があります。発熱している、立ちくらみがする、という状態で出向くのは単純に危険です。

参拝は期限のある行事ではありません。整った日に行くほうが、境内で過ごす時間そのものが違ってきます。

B-2. 酒に酔っているとき

祭礼の直会(なおらい)のように、神事のあとにお神酒をいただく場面はあります。ですから飲酒そのものが禁じられているわけではありません。

問題になるのは先に飲んでから参拝するほうです。足元が危ない、他の参拝者の迷惑になる、拝殿前で何を思ったか覚えていない。理由はどれも現実的なものです。

B-3. 時間に追われているとき

これは禁止ではなく、もったいないという話です。

参拝で何かが整理されるとしたら、それは拝殿の前の数十秒ではなく、参道を歩く時間と帰り道で起きています。次の予定が15分後に迫っている状態では、その時間が最初から存在しません。

4. C層|出どころが確認できないもの(6つ)

ここからが、検索して不安になった人の多くが引っかかっている部分です。

C-1. 生理中は行ってはいけない

かつて血を穢れとして扱う考え方があり、その名残として語り継がれているものです。

ただし現在、参拝者に対して一律にこれを禁じている神社は一般的ではありません。神事に奉仕する側やお祭りの担い手については各社の慣習が残っている場合がありますが、それと参拝者の話は別です。

体調がつらいなら日を改める。それはB-1と同じ理由であって、穢れの話ではありません。

C-2. 雨の日は行ってはいけない

これは面白い例で、まったく逆の解釈も同じくらい広く流通しています。雨は禊の雨であり、歓迎されている証だという言い方です。

同じ現象に正反対の意味づけが並んでいるということは、雨そのものに固定した意味がないということでもあります。足元が危ないと感じたら日を改める。それだけで十分です。

C-3. 複数の神社をはしごしてはいけない

「神様が喧嘩する」という言い方で語られます。出どころのはっきりしない説明です。

日本では古くから複数の社寺を巡る参拝が広く行われてきました。七福神めぐりも三社参りも、はしごを前提にした習わしです。教義として戒められているわけではありません。

実際的な問題があるとすれば、短時間に何社も回ると一社ごとの参拝が雑になりやすい、という一点です。心配するならそちらです。

C-4. 呼ばれていない人は行ってはいけない

呼ばれるという言い方は、参拝者のあいだで自然に広まった表現です。神道の教義にある概念ではありません。

ですから、呼ばれていないことを参拝の可否と結びつける根拠が、そもそも存在しません

行きたいと思ったなら行ってよい。呼ばれたかどうかを気にして足が止まっているなら、気にしているほうを手放して構いません。

C-5. 作法を知らない人は行ってはいけない

作法は覚えればよいものです。知らないことが立ち入りの条件になるという考え方は、神社の側から出てきたものではありません。

むしろ多くの神社が、手水の使い方や拝礼の手順を掲示しています。知らない人が来る前提で用意されているということです。

C-6. 願い事をする人は行ってはいけない

「神社は感謝を伝える場所であって、お願いをする場所ではない」という言い方です。

心がけとしては分かる話ですが、これを禁止として扱うと窮屈になります。実際、神社では合格祈願も安産祈願も商売繁盛の祈願も日常的に行われています。祈願という言葉が社殿の看板に書かれているのですから、願うこと自体が否定されているはずがありません。

C層に共通する見分け方

C層の6つには共通点があります。誰が言い始めたのかをたどれないこと、そして守らなかった場合に何が起きるかが具体的に書かれていないことです。逆にA層は、忌中という言葉も五十日祭という節目も、たどれる先があります。この2点で切り分けると、新しい「行ってはいけない」を見かけたときにも自分で判断できます。

5. お盆の時期はどうなのか

8月に入ると「お盆に神社へ行ってはいけない」という言い方をよく見かけます。

お盆は仏教の行事として広まった習わしです。神社の参拝を禁じる根拠にはなりません。この言い方は、先祖供養と神社参拝を混同したところから出ています。

気をつけるべきなのは、そちらではなく気温です。8月の日中は熱中症の危険があります。時間帯を朝か夕方にずらす、水分を持って行く。そのほうがよほど現実的な注意点です。

6. それでも不安が消えないときに

ここまで読んでも不安が残ることがあります。それは自然なことです。

「行ってはいけない」と書かれた文章は、読んだ人を止める力が、読んだ人を動かす力よりずっと強いからです。10個の「大丈夫」より、1個の「危ない」のほうが記憶に残ります。

そういうときは、条件のリストを増やすのをやめてみてください。

検索して出てくる「行ってはいけない人」の記事は、条件を多く挙げるほど読まれます。だから増え続けます。増え続ける理由は、あなたの状態とは何の関係もありません。

迷ったときの判断理由
忌中かどうかだけ確認する12のうち、日程を左右する可能性があるのはここだけです
体調と足元で決める石段と砂利は、天気と体調で難易度が変わります
大事な参拝なら社務所に聞く検索結果より、その神社の答えのほうが正確です

まとめ|止まる理由は、たいてい外から来ている

神社に行ってはいけない人として挙げられる条件のうち、神社の側に考え方があるのは忌中と各社の規定、そして神事に関わる立場のときです。

体調と飲酒は、霊的な話ではなく現実的な理由です。残りの6つは、誰が言い始めたのかをたどれないまま広まったものです。

そして、この記事を読んでいる時点で、あなたはもう行きたいと思っています。

行ってよいかを確かめる必要があるのは、忌中かどうかだけです。それ以外は、当日の空と自分の足で決めて構いません。

よくある質問(FAQ)

Q. 忌中と喪中では、神社の扱いは違いますか?

扱いが違うものとして説明されるのが一般的です。忌中は近親者が亡くなった直後の期間を指し、この間は鳥居をくぐらず参拝を控えるという考え方が広く行われています。喪中は故人を偲ぶ期間として一年程度をあてることが多く、忌が明けていれば参拝して差し支えないとする神社が多く見られます。ただし期間の数え方も考え方も神社や地域によって異なるため、大切な参拝であれば、その神社の社務所に直接たずねるのが確実です。

Q. 忌中の期間は何日ですか?

五十日祭までの五十日をあてる説明がよく見られますが、これは全国一律の決まりではありません。三十日とする地域や、続柄によって日数を変える考え方もあります。数字を先に決めてしまうより、忌明けをいつと考えるかをご家族や神社に確認するほうが実際的です。なお、どうしても期間中に参拝の必要が生じた場合、鳥居の外から拝礼する、お祓いを受けてから参拝するといった対応を案内している神社もあります。

Q. 生理中に神社へ行ってはいけないというのは本当ですか?

かつて血を穢れとして扱う考え方があり、その名残として語られているものです。現在、参拝者に対して一律にこれを禁じている神社は一般的ではありません。一方で、神事の奉仕者やお祭りの担い手については各社の慣習が残っている場合があります。参拝者として訪れる分には気にしなくてよい、というのが実情に近い説明です。体調がつらいなら日を改める、という判断のほうが理にかなっています。

Q. 複数の神社をはしごすると神様が喧嘩するというのは本当ですか?

出どころのはっきりしない言い方です。日本では古くから複数の社寺を巡る参拝が広く行われてきており、はしごを戒める教義があるわけではありません。強いて言えば、短時間に何社も回ると一社ごとの参拝が雑になりやすいという実際的な問題があります。神様同士の争いを心配するより、一社ずつ落ち着いて参拝できる数に絞るほうが意味があります。

Q. 体調が悪いときは参拝を控えるべきですか?

控えて構いません。これは霊的な理由というより、境内は足場の悪い石段や砂利が多く、夏場は日陰が少ない場所もあるという現実的な理由です。発熱している、立ちくらみがするといった状態で無理に出向く必要はありません。参拝は期限のある行事ではないので、整った日に行くほうが自分にとっても記憶に残ります。

Q. 呼ばれていない人は行ってはいけないのですか?

そのような決まりはありません。呼ばれるという言い方は参拝者のあいだで広まった表現で、神道の教義にある概念ではないため、呼ばれていないことを参拝の可否と結びつける根拠がそもそもありません。行きたいと思ったなら行ってよい、というのが前提です。呼ばれたかどうかを気にして足が止まっているなら、その気にしている状態のほうを手放して構いません。

Q. お盆の時期に神社へ行くのは避けたほうがいいですか?

お盆は仏教の行事として広まった習わしで、神社の参拝を禁じる根拠にはなりません。お盆だから神社は避けるという言い方は、先祖供養と神社参拝を混同したところから出ています。ただし夏の日中は熱中症の危険があるため、時間帯を朝夕にずらす、水分を持って行くといった配慮は現実的に必要です。

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